杞憂とカレー

『先生、昼飯行きません？』

と誘ってきたのは後輩くん。珍しく、他に誰も誘っていないらしい。


こりゃ何か、話があるんだろうな。と思った。


おりしも、数日前市内の人事が発表されたばかりだ。
来年は管理職が変わる。


後輩くんも私も、昨年異動してきたばかりなので、当然ながら今年異動はない。





校区から離れたカレー屋さんで、ジャージ姿のアラサー二人、杞憂を吐き出しあう。


今度来る管理職は、私と昔一緒に働いたことがある人なのだが、私はその人に対してあまり良い印象を持っておらず・・というか、一緒に働いていた間中、仕事を変わることを打診されたりいろいろしていたので、半ばトラウマのような人だった。


『俺も●●さんから、あんま良い話聞いてないしなー』


彼は彼で、いろんな人から噂を聞き、杞憂を募らせていたようだった。


二人して『憂鬱やなー』と言いながら、昼ご飯をむさぼる・笑



でも組織の中で働く人間にとって、異動はつきものだし、信頼できる良い上司に出会えるのもそうそうない。

肩書が上になるにつれ、保守的になる人だって往々にしている。


こんな人が上司になれば・・とか管理職になってくれれば・・と思うような人は大抵現場主義を通すものだ。


異動してくるあの人は、一緒に働いたころとあまり変わらないだろう。

けれど、あの頃の私と今の私は違う。


『違う仕事をしたら？』なんてこと、今度は絶対言わさへん。


そして面と向かっては言わないけれど、あんたもきっと大丈夫だよ。
何もケチをつけられないような仕事、じゅうぶんしている。


でも、杞憂を言い合える職場の人間関係に感謝


去年の今頃は不安で不安で仕方なかったけど、１年で私もすっかり今の職場の一員になり、信頼できる仲間も増えた。

転勤て、するまではすごく不安だけど、してみるのも悪くない、と思う。

信頼できる人が増えるのだから。