卑怯者。

『でもね、それは男のせいにしない方がいいっすよ・・・あ、ウナギ取ってください』

ええこと言うやんと余韻に浸る暇もなく、あわてて流れてきた皿に手を伸ばす。


残業終わりの午後９時。先輩と後輩とでご飯ｗ

３人してよく食べるのがそろったので、みるみるうちに目の前に皿のタワーができる。


後輩の恋バナをきっかけになぜかそういう話になってしまった。

先日、彼に全力で避けられた話をしたら返ってきた言葉がそれだった。



*:..｡♡*ﾟ¨ﾟﾟ･*:..｡♡*ﾟ¨ﾟﾟ･*:..｡♡*ﾟ¨ﾟ･*:..｡♡*ﾟ¨ﾟﾟ･*:..｡♡*


ミッキーさんとの再会が決まって、少し浮き足立っている自分がいるのは事実だが・・・

でも・・・それは純粋なものではなく、私は逃げたいだけなのだ。　彼を逃げ道にしているだけなのだ。


早く兄ちゃんを忘れたくて。

兄ちゃんが何を思って私を避けているのかは知らないし、本当のところ、私への感情がどうなのかも彼にしかわからない。
けれども状況的に見て、そこに希望はないに等しい。


このままこうしていても、いつまでもない希望が湧いてきやしないかと求めるだけだから。


ミッキーさんと会うことを決めたのも、つまるところ、早く兄ちゃんを忘れたいから。
こうして、どこに食べに行こうか考えたり、何を着ていこうか考えるだけでも気はまぎれている。


最低だよね。ミッキーさんを利用してるも同然やん。卑怯なヤツだ。　私は。
自分の傷にくらい、自分で、自分ひとりで向き合えよ。


何を焦ってるんだろうな。
まだ抱えてていいやん。そんなに日は経ってない。　まだ傷ついていてもいい時期なのに。


なぜ誰かの存在で紛らわしたいなどと愚かなことを思うのだろうか。

卑怯者。

ミッキーさんは常に真摯に向き合ってくれるのに、私は彼に対してちっとも真摯ではない。



keishiaはやっぱり要所要所で染みる