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Think&Said to Myself

日々の日記と思いをミク●ィより赤裸々に(笑)綴りますw

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拝啓 A先生。

電話をすれば出てくれそうな気がする。

研究室に行ったら笑顔で出迎えてくれそうな気がする。

またひょっこり、どこかから現れそうな気がする。


この2日間、様々な出来事が、K大での4年間と共に思い出される。



信じられない訃報から一夜明け、告別式に行ってきました。

大学の4年間、本当にお世話になったという言葉だけで語れないくらいお世話になったA先生。
まだ65歳。   
旅立たれるにはまだ早いよ、先生。 先生のご心配がなくなるくらい、立派になったところを見てもらおうと思っていたのに。先生がいらっしゃるうちに大学院に行きたい。そう思っていたのに。  もう叶わなくなってしまった。


悪い冗談であってほしい。
何度そう願っただろう。

ゼミの子がみんなを集めたくて・・・はたまたA先生が久しぶりにみんなに会いたくなって・・・悪い冗談を言っているのだと。


でも、どんなに嘘みたいな話でも、ほっぺたをつねればちゃんと痛いのだ。



先生の自宅からほど近い、北摂の斎場で営まれた式。

たくさんの花に囲まれ、いつものAスマイルを振りまいている先生はもう写真でしか見ることはできない。


遺影を見ても現実味は一向にわかないけれど、でも先生の掛けてくれた言葉を思い出すと目頭が熱くなる。



訃報を受けたその夜、私は急いで学生時代ゼミのことで相談に乗ってもらったりしたK君に連絡を取った。

院にこそ進まなかったけれど、昔から優秀で学部生ではA先生の右腕って感じだった。

直接話すのは彼が卒業して以来だから5年ぶり。
その間に彼は結婚していた。びっくり!そしてなんだか悔しい・笑  先越されたみたいな。(そら越されるやろ)



昨年から体調を崩されて入院していたりしたのは知っていたけれど、今年の春先には名誉教授の称号をもらって第一線を退いていたらしい。
道理で教員紹介の欄にどこにも名前がなかったわけだ。


『結婚の報告で先生に会いに行ったけど、その時もかなり痩せてた。苦手な野菜も食べてたからその時から悪かったんかな』と振り返るK君。



葬儀のはじめ、生涯を振り返るアナウンスで、名誉教授になってからも1講座担当していたことや、抗がん剤治療を続けながらご自身でも良い治療法がないか調べていたらしいことも知った。


先生らしいな。最後まであきらめてはいなかった。


でも先生のことだから、推測だけれど、体調があまりすぐれなくても無理をして病院にいかず、がんだとわかったのはだいぶ進んでからだったんじゃないのかな。
すごく我慢強い方だから。


お坊さんが読経している間にも、様々な出来事が甦る。


2回生の頃、バイトの帰りに大学の中の坂道をチャリを押しながら帰っていたときに後ろから横から声を掛けてくれた先生。

僕の授業を取っていましたね?と。

今年も取っていると答えると、『前の方に座らないとわからない。それに前の方がこの男前がよく見える』と、A先生らしい返事だった。

次からはまた是非前に座ります、と答えた私に、

『君が頑張っているのを見て知っていますから』と。 


その瞬間、長年の心の鬱積がどーーーーーーっと押し流されるのをはっきりと感じた。


あの言葉がなかったらAゼミにもいないかもしれないし、今の私はいない。


それからまだ6年しか経ってないのに。もう二度と会えないなんて。



私の心を救ってくれた恩人。


就活の時も教採の時も、私の決めたことに何一つ反対せず、黙って見守っていただいた。
その力添えがあったから、私は自分の夢に向かって堂々と挑戦することができたのだ。


就職してからもうまくいかない私を、決して否定するようなことはなかった。
研究室を訪れればいつでも笑顔で迎えてくれた。


私の大学生活はA先生なしでは語れないし、私の人生もA先生なしでは語れない。



ゼミの女の子たちは最後の棺に花を手向けるときに大号泣していたけれど、そこであまり涙は流れなかった。


それはもう知っているA先生ではなくて。


元々そんなに背の高い人ではないけれど、棺の中の先生はさらに小さく見えた。
やすらかなお顔も間違いなく先生なのだけれど、それでも『先生』と呼んでも返事は帰ってこない。


むしろ、生きているときを振り返った方が涙はとめどなく出るのだ。


焼香のあと、ご遺族と言葉を交わす。
奥様やご親族の方とお目にかかるのは初めてだ。奥様はお顔は拝見したことがあるものの、言葉を交わしたことはなかった。


私の顔を見るなり、奥様は先生が話している私だとわかったらしい。


『いつも聞いていました』と私の手を握る。


そういえば、1回生の頃一番前の席に陣取っていた私にプリントを配るのを手伝うように命じた先生。

その時、私は先生に頼まれたことが嬉しかった。

けれど、先生は少し違ったらしい。


頼まれたプリントを配ろうと立ち上がった私を見て、そこで初めて先生は私の足が不自由であると気づいたらしい。

私としてはごく普通のことをしているだけなのだが、先生は大変なことをしてしまった!と思ったようなのだ。

今より若くてまだ体もトントン動いたし、それほどしんどいことではなかったんだけれど、先生には歩くの大変なのに・・・って見えたらしくて。

それでひどく落ち込んだ先生は、帰宅して奥さんにも思わず『すごく申し訳ないことをしてしまった・・・』と話したのだと、4回生の頃に聞かされた。


その時に先生には「全然気にしてないですよぉー」と否定したが、奥様にも同じ話をすればよかったと思った。


当時の私はそんなことよりも先生に『これはキャサリンさんだけに渡してください』と頼まれ、


300人は超えようという学生の中、

(キャサリンてだれーーーーーーーーーーーー)笑
(つーかどこの席ーーーーーーーーー)笑

とたくさんの学生の中からキャサリンを探すことの方が苦労したっていう・・・

それ以外にも先生は私のことを奥様に話されていたらしい。


その横には、先生の妹さんがいらっしゃり。

妹さんは先生の故郷でずっと教鞭をとり、校長まで勤めて定年退職したらしい。


その妹さんも、

『聞いてたよー。ずっとあなたのこと聞いてた。 頑張ってね、頑張ってね』と涙目。



もっともっと伝えたいことはたくさんあったのに、「先生には本当にお世話になって・・・」とか、「この度はご愁傷様です」とか、「言葉もないです」とか「もっともっと教えていただきたいことはたくさんあったんですけど」とか月並みなことしか言えなかった。


ご遺族と言葉を交わして、奥様だけではなくて遠くに住んでいる妹さんにまで私のことを話してくれていたんだなぁと思ったら、もう堰を切ったように涙が出てくる。


もう、K君が見ていようが院ゼミの先輩が見ていようが無理だった。
子どもみたいに肩を震わせてしゃくり上げた。


私にとってA先生はただの先生じゃない。
きっとAゼミ出身者はみんなそうだと思う。ただの教授と学生という枠組みでは括れない繋がり。


霊柩車が行ってしまってしばらくAゼミ教員メンバーは腑抜けていた。

次の車が入ってくるのでそろそろ場所を開けてくださいと係りの人に言われるまで、腑抜け切っていた。

K君が近寄ってきて『顔ヤバいって』と言っても、気の利いた返しが見つからない。実際「ヤバい」んだろうし・・・と後で鏡を見たら本当にヤバかった



先生、天国はどんなところですか。
あわただしい責務から解放されて、思う存分研究に没頭されているのでしょうか。
『いい男を見つけたらAと比較して決めなさい』ってよくおっしゃってましたね。見つける前に先生が逝っちゃダメじゃないですか。

そのうち学生がいないからつまんない、と天国での暮らしに飽きられるのではないですか。

その時は、ゼミ生の夢の中にでも遊びに来てください。


再び会えるのはまだしばらく先ですが、それまで先生のゼミ生として、恥じない生き方をしていこうと思います。
どうか見守っていてください。
いつか会えた日にはまた、伝統文法をぶった切ってください。また議論しましょう。

A文法、忘れません。  いつかA文法がスタンダードになればいいんですが


本当にお世話になりました。
ありがとうございました。


今まで昼夜なく研究や仕事に没頭されていらっしゃったし、今はしばらくゆっくりしてください。
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