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Think&Said to Myself

日々の日記と思いをミク●ィより赤裸々に(笑)綴りますw

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細い糸

『先生の言うこととか、学級通信に書かれてる事は全部きれいごとなの。きれいごとばっかりやねん』

上品な口調と、上品な顔で、随分と辛辣なことを言うものだ・・・と思ったが、黙って聞いていた。

確かにきれいごとも少しは混じっているかもしれない。けれど、きれいごと「ばっかり」なんかじゃない。
私だって信念を持って伝えていることを真っ向から否定され、良き忠告だと思う一方で、少し腹が立った。

つとめて明るく、つとめて屈託無く、私は言った。

「先生が昔担任されていた頃の学級通信て、置いてはりますか?もしあれば参考にしたいので見せて下さい」


家にあると思うから、探して持ってくるわね。

そう言ってもう2週間以上が経つが、彼女はまだ私に学級通信を見せてくれない。


私には言われたことはすぐにしなさい、とか、約束したことは必ず守るように、なんて言うくせに、自分はいいのかよ・・・なーんてヒネた思いが浮かぶ。
忙しいとか、探しているけれど出てこないとか、何か理由があるなら言ってくれればいいのに。

子どもとの約束や要望には超迅速に対応するのに、私はひとりの人として見られてないのだろうか。



別にいいけど。見せてくれなくたって。。



今週はじめ、私にもどうしようもないことで叱責され、(まぁそれは他者から見なければなかなか気づかないことだから、忠告してくれるのは有難いのだけれど)、更には私がつまらない(がその結果はつまらなくない大変な)ミスをしてしまい、また叱られる羽目になり・・・。


気ぃ張って気ぃ張って、何とか何とかここまで来たけれど、もう限界かもしれない。
これ以上、常に気を張り詰めて、これから先やって行くのはしんどすぎる。


『高校の方が向いてる』と言った教育実習の指導教諭の言葉が再び胸に刺さる。


本当に私、高校の方が向いているのかもしれない。
中学生と接することは好きだけれど、私には中学校教諭の素質がないのかもしれない。
中学校教諭と高校教諭では、求められる能力も微妙に違う部分もある。


自分が叱責されることに落ち込んでいるんじゃない。
そのことをなかなか自分の中で消化して実践できない自分が悔しくて落ち込むのだ。
でも、それを言ってもおそらく周囲は理解しないだろうな。


自分の判断基準がなくなった。軸がなければ子どもらもブレる。
失敗しないかと萎縮しきってしまっている自分。
そんな自分の姿にきっと子どもらは気づいているだろう。


再び夏の『辞』というハードルが、目の前に見えた。

でも、やっぱりまだ、教師でいたいという思いは残っている。けれど、自分が「やりたい」という気持ちだけでこの仕事を続けるのは単なるワガママだ。
何らかの利益をもたらさないことには、組織にとっている意味はない。


でも辞表を書く勇気もないのだった。情けない。



久しぶりに恩師に電話した。 
いつもはすぐに掛かることは珍しく、大抵、女性の無機質なアナウンスが電源を切っていることを知らせるのだが。
切羽詰った私の思いを知っているかのように、すぐに呼び出し音が流れ、先生が出た。

『おう、久しぶりやな。どうしたんよ?』

深みのある声を聞いた途端、心の堤防が決壊しそうになる。
なんとか、震えそうになる声に喝を入れながら、自分の今の状況と、気持ちを掻い摘んで説明した。


大抵の人は「やりたいとか続けたいという気持ちだけで、能力がないのに仕事を続けるのはワガママだ」という私の思いに、『そんな事ないよー』とか何とか私を励ましてくれる。
それは嬉しいけれど、でも私は納得できないのだった。


そんな事なくはない、と。

その意見について、先生は肯定も否定もしなかった。ただ、言う事を『うん、うん』と聞いている。



『(辞める)決断をするかよぉ、周りに申し訳ないと思いながらお前が努力をし続けていくか、そのどちらかしかないと思うんやで』

『最後に決めるんはお前自身やけどな』


てっきり真っ向から『辞めるな』と言われるだろうと思っていたので、少し意外だった。


『でも今すぐにっちゅうわけやないやんか。まだあとひと月あるし、せめて年度末までは続けぇよ。せやないと子どもも「何や」ってなってしまうしなぁ』

ははいくら、切羽詰ってしんどくても先生、それくらいの責任感と覚悟は持ってるで、私・笑

「はい、それはもうもちろん。今の子らを無事に2年生にするまでは辞めませんよ」


『お前がよー、仕事ができんと周りに迷惑掛けて申し訳ないって気持ちが大きすぎて、自分を見失ってしまうんなら、今の仕事に固執することはないと僕は思うんよ。でも、辞めて後悔するなぁってちょっとでも思うんやったら、辞めへん方がええと思うわ。』

『この年齢になって思うんやけどねぇ、お前の父親か兄貴(は言いすぎちゃうか先生・・・笑)みたいな気持ちで言わしてもらうとねぇ、人生1回やで。後悔せんように生きんとよ。』


親戚は皆就職した時から『しがみついてでも辞めるな』と言う。もちろん私の生活を心配してくれているというのは痛いほどわかる。

でも、先生は「私が自分らしくいられるかどうか」という視点からアドバイスをくれたのが、嬉しかった。

いくらお金があっても心が健康じゃなかったら、意味ないし・・・。


『今年度乗り切れたら、大丈夫と思うけどなぁ』と先生は呟いた。



きっと、本気で辞めると思うなら、こんな風に誰かに相談などしないで、勝手にさっさと辞表を出すことだろう。
それなのに相談すると言う事は辞めたくなくてその為の言葉を求めているに過ぎない。


『家族とも一回、よう相談せえよ』

絶対できない。


出来たら先生に掛けたりしませんよ、と心の中で呟いた。
先生は事情を知らないから悪気はないが、少し寂しかった。


あぁ、普通は真っ先に家族に相談するんだろうな、と。


とりあえずはあとひと月。細い糸を縛りなおして、また頑張る。
それから先は、まだ今は考えたくない。
今だけで必死だから。


嗚呼、苦しい。。
 

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