重すぎる荷物

久しぶりの、おばからの電話。

おばは母の年子の妹にあたるのだが、実質一番上みたいなものだ。
母があんなんやから仕方ないけどねｗ

祖母が自宅での一人暮らしが困難になってきてから、時折愚痴っていうか、なんというかをこぼしに電話してくることがある。
本当なら気の置けない姉妹でしたい話だろうけど、サイズのでっかいコドモみたいなものだからできひんわな


祖母がホームに入る前は「要介護１」だったのがたった数か月で４に上がったのだと言う。

ある程度仕方のないこととはいえ、ちょっとショックやんなぁ

『おトイレもね、自分で出来なくなってるの。ベッドの横にポータブルトイレを置いてもそこでできないのよ。部屋に行ったらトイレの臭いがするのね。きっとオムツを当ててそのまま置いてるんだと思うの。人手が足りないんだろうけどね』

94歳とはいえ。長い間同年代の人よりだいぶしっかりして、腰ひとつ曲がっていなかった祖母が。
切ないなぁ。

『私にね、「ところであんた誰な？」って言ったのよ。しっかりしてる時とそうでないときがあるみたい』

秋の連休に会いに行こう。孫の顔は覚えているだろうか。



『あんたの親も今年金で生活してるようなもんなんでしょ。介護も老人ホームもホントお金が掛かるのよ。あなたがちょっと家計を握って、必要最低限以外のお金はあなたで貯金して管理してもらえない？でないと、老人ホームひとつはいれないわよ』

それは私も考えていたことだった。
複雑な事情があり、うちは年金以外の収入がほとんどない。貯金もスズメの涙ほどだ。医療保険の類も生活が苦しくなって解約して以来、入っていない。

親の老後のことを考えると、頭が痛くなるどころではない。

私がいずれ結婚すれば、どうしても女性は夫側の家を優先せざるを得なくなるし、まぁそれは建前で、正直なところ、育ててもらったことは感謝しているけれど、でもそれ以上でもそれ以下でもないのだ。

小さいころから旅行ひとつしたことがない。
欲しいものもほとんど買ってもらえず、何とか説得して買ってもらった頃には周りはとっくにそれに興味を失っている頃で。話題には入れない。
いつも大人の顔色を窺ってワガママもビビりながら言わなければならなかった。

当時からアスペであった(いきなりなるとかないけど)母は、同級生から変なオバチャン扱いされることも多かった。

ただ、屋根のあるところで体だけ大きくしてもらったと言うだけだ。
むしろちょっとした恨みの方が多い。

薄情だと罵られようが、返したい恩などさらさらない、というのが本音。自分でも最低だと思う。

今だって本当は自分のことだけを構っていたいけれど、結局、経済的に自立できていない彼らのためにボーナスの一部はTVであったり冷蔵庫であったりを買わなければならない。

別にそういうのは嫌ではないけど、何だろう、時々ちょっとキツい。


私は私で勝手にしたい。
もういつまでも親に縛られたくなんかない。

でも自分たちで生活できなくなったら？
と思うと、以前から頭を抱えてしまうのだ。


いっさいがっさいどうにかできるくらいの金持ちの玉の輿に乗るか、
宝くじの１等でも当てるか。

どっちもありえない。

凡人からかけ離れて金持ちの人なんか、大概性格ひん曲がってんだろうしな(偏見)ｗ


帰省した際に、こんだけ貯めてると母は自慢したが、正直私の年収より低いよ、とは言えなかったし、私立大学に入れてもらったのだから、それは言ってはいけないことだ。

その額は到底長い老後を賄えるとは言えない額だ。


でも二人して生活力がないくせにプライドだけは高いから、私が親の財布を握るとなったら承知しないのだろうな～。

『でもアレンジしてあげないと、お姉さん(母)に任せといたらろくな使い方しないわよ』

そうやねん。わかってるよ


そうするときは一緒に説得してね、と言い置いて電話を終えた。


育ててもらっておいて言えたセリフじゃないが、重いなぁ・・・重いわ。


普通の家庭なら、結婚するときに旦那さんには内緒で貯金通帳を持たせてくれる親もいるんだろう。
手術が必要なら遠慮せずにお金を貸してと言えるんだろう。


わかっているけど、ないものねだり。


自分のことくらい、自分で何とかしてよね。

言ってみても仕方ない。