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Think&Said to Myself

日々の日記と思いをミク●ィより赤裸々に(笑)綴りますw

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脆い綿菓子

以前、このブログで書いた、マルチ商法に足を突っ込んでいる友人からまた電話があった。

最近頻繁に、彼女がオフの日には遊ばないかとお誘いが来る。
数年前なら二つ返事でOKしていたのだけれど、この頃はのらりくらりとかわすようになった。どうせ会ったって、マルチの会社の話か、その会社の商品の話しかしないのだ。。


電話も極力取らないようにはしていたのだけれど、あまりにしつこいので出ることにした。


何気ない挨拶から始まって、今日の話はその会社とは関係ない、と語気を強める彼女。

・・・それにしても、と思う。
いつからこんなに押し付けがましい口調で喋るようになってしまったのか


彼女の話は、彼女が尊敬する講師の先生が講演会を開くので聞きにこないかと言うものだった。

よくわからないが、どうも自己啓発セミナーの類らしい。・・・もうそれだけで胡散臭い。
そもそもさぁ、今の私が自己啓発を必要としてるかどうか、考えてから電話しろよ・・・と思ったり・苦笑


セミナー内容について、突っ込んだ質問をしてみたのだが、彼女の話はイマイチ要領を得ない。

『とにかく素晴らしい人でね私もその人の話聞いて、自分に自信が持てたし、すっごい変わってん

「うん、それはわかったけど、その人はどんな話をしはるん?」

『うーーん、何て言ったらええんやろな。聞いてもらうんがいちばん早いねんけど・・私じゃうまいことよう言わんわ。でもとにかく聞いて欲しい

なんやそれ・・・と言うのを、口から出掛かってやめた。


これでも彼女、生保の営業が仕事である。
でもこの話し方じゃ、『うちの商品めっちゃええねん!とにかくええねん!!え?中身??私はうまいことよう言わんけど使ったら良さわかるから!とりあえず買って!』

って言ってんのと同じやんかねぇ

自分が人にものをすすめるのに、自身がそれについてよく知らないなんて論外
あんた、ほんとに営業務まってるのと問いたい。

早くもブラックめぐさんが降臨しそうになっていた
私はこういう人種に対して、ことごとく冷めている。

ちょっとイジワルをしてみたくなって、もっと突っ込んだことを聞いてみた。

「さっきさぁ、○○社(マルチの方)とは違う団体だって言ってたけど、○○社の社員たちの一部で立ち上げてんやんね?」

『うん』

「ほんなら、登記上もまったく別々のものってこと?」

『え?』

「会社立ちあげたら、登記簿に載るでしょ。(私もこの辺の法律はよく知らんねんけどちょっとハッタリ・笑)まったく別の会社として、別々に存在するのかって言う事」

『あー違う違う。会社じゃなくってね、その講師の先生の会社に賛同する○○社内のサークルって感じかな』


・・・さっきと言うてることがちゃうやんけーーーーと怒鳴りたいのを堪える。
いつからこんなに頭の弱い子になってしまったんだろう。昔はもっと聡明な子だったのに・・・


「さっきの説明と矛盾してない?」

『あ、ごめん。私の言い方が悪かったかな・・・』


悪い。超悪い。。最悪。。。(ブラック既に降臨中)


『とにかくね、私はめぐさんをその先生に是非会わせたくって私はめぐさんの人生をより良いものにしてほしいって思ってるんよ


おーーーーーい・笑   ちょい待ちぃな


突っ込みどころ満載の彼女の暴走トーク。


あのね、いつ私が今の私の人生が悪いなんて、言った?笑
より良くしてほしいなんて、いつ頼んだ?


勝手に人の人生の価値を、あんたに決める権利があんのかよ(怒)


そりゃ生きてれば色々ある。 
仕事は大変だし、体だって良くはない。子どももかわいいばっかしじゃない。

でも、私は今の私の人生に満足している。この仕事を選んだのだって後悔はしていない。
もしかしたら他の生き方もあったのかもしれないけれど、少なくとも他の生き方を選んでいたであろう自分を思っても、ちっとも羨望はわかないから、総括して、満足しているのだ。


順風満帆な人生は楽だが、空っぽだ。
尤もそんな人はいるのかと思うが。


やりきれない事たちや、社会の不条理を目の前にしても、それをあーだこーだと言い合える仲間も私にはたくさんいる。
人生って、そういうたくさんのやりきれない事もあってこそ、些細な幸せが光るものだと思うのだ。

そうして嘆きながらでも、明日へ向かっていく強さを、誰でも持ち合わせているのだから。


だから、私は今の私で満足だ。


それよりもいい年齢をして、『夢』だの『理想の自分になるため』だの現を抜かしている彼女は痛々しい。
地に足がついていないのは、誰から見ても明らかだ。

そりゃ、例えば『30歳までにいくら貯める』とか『今の彼氏と何年後には結婚する』とかそんな具体的な夢(というより目標と言ったほうがいいかも・・これは)ならば、持っていていいと思うけれど、漠然と夢を見る年頃ではないだろう、もう。
そんなんは高校生までに許される特権だ。少なくとも社会人3年目の言う事じゃない。


彼女の話では、いずれマルチの会社での仕事を軌道に乗せて、生保会社を辞める気でいるようだ。
だがそれは賢明ではないと思う。

軌道に乗っても、それは一時のこと。 あとは衰退が待っている。
長く軌道に乗っていられたとしても、その間に多くの大切なものを彼女は失うに違いない。
信用とか、友達とか、そういう簡単には築けないものを・・・・


きっと会社の幹部にマインドコントロールされてしまっているんだろう。
会社のことを話す彼女は尋常ではない興奮ぶりだし、誰が考えてもおかしいやろ・・ってなことも、100%正しいと信じて疑わない。

イタすぎて見ていられないよ。。


彼女の出鼻をくじいてやることにした。私は時々、とことん冷めてしまうと、とことん狡猾になれる生き物だと思う。

「あのさぁ、△ちゃん(友人)が言ってるのがすっごく良いんだろうなって言うのはよくわかるねんけどな、たぶん勧められる人って、私と同じようにそのセミナーなり商品なりをまったく知らん人がほとんどやんか。きっと頭ん中にいっぱい『?』があると思うねん。私もあるけど、それが今の話でな、まったく解消されへんかってんな。それでどこがええんかようわからんままやったら、やっぱし嫌やん。せやから最低限、△ちゃんが自分で中身を説明できるようになっとかなあかんちゃうかな。でないと、付いてきてくれる人は出てこーへんのちゃうかなと思う。そりゃ△ちゃんはそれについてよう知ってると思うけどな、勧める相手は無知やねんで」


穏やかな口調を意識して、でも仕事のときに生徒に言うような無言のニュアンスを口調の中に織り交ぜる。


『・・・うん、それはそうやな。そうするわ。ありがとう』


彼女の返事も穏やかだったが、言葉の調子の端々に少し弱い部分を突かれた後の独特のふらつきが見て取れた。


少し引き上げて、こちらに対する警戒心と言うか、敵意なりをほぐすことにする。

「夢のために△ちゃんはその仕事頑張ってるみたいやけど、△ちゃんの言うさぁ、夢とか理想の自分って何なん?」

再び彼女は嬉々として語りだす。得意分野とそうでないものの差が激しすぎて、すごくわかりやすい。
まぁ、そんなだからマルチの会社になんか引きずり込まれちゃうんだろうけどね


『私の「成功してる人」のイメージって、やっぱり収入をたくさん得てる人ってイメージがあるんな。』


その一言で、他の全ての言葉が褪せていく。他にも何か尤もらしいことを言ってはいたけれど・・・


結局は金儲けに目が眩んだんやね
金儲けに目が眩んで、そんな愚かな選択に走る、あるいは、正常な判断力が利かなくなって、その会社に引きずられたんだ。

これを哀れ以外の何と言おう。


私はと言えば、ますます彼女に軽蔑していた。


(もう友達なんかじゃない)


二次障害で困っているのさえ、自分のビジネスに利用しようとする人。いくらかそこに善意が混じっている筈って信じるようにはしていたけれど、結局100%金目当て。

あーあ、哀しいね。


『めぐさんの夢とか理想の自分ってどんなの?』


無邪気に聞いてくる彼女に私は言った。

「ないよ、そんなん」

え?と狼狽する彼女。


「K大に入りたいって言うのも夢なんかじゃなかったし、教師になりたいってのも『夢』って言葉では片付けられんのよな。それに全部実現してきたし。だから、もう夢とかない。ただ1日1日自分がすべきことをしていく中で、課題が見えてきて、それをクリアしていくように努力することがすなわち『理想の自分』に繋がるものやと思うし。でも、理想とか、漠然とはあるけど、それを本気で追いかけてどうこうのレベルじゃない。自分が今日出来ることをして明日につなげていくだけやん。それをしてたら、どんな状況でも、最悪にはならへんわ。
それに、私の夢とか理想とかってさ、△ちゃんが言うようなお金で解決するもんではないんよな。だから、理想の自分を実現するために、お金が必要だとは思わない。私は今の自分に満足してる。足りひんところもいっぱいあるけど、それを少なくしていくために今日をがんばってる。それでいい、私は」


『へぇ~そうなんや』 腑に落ちない様子の声。

でも今の彼女にはわからないだろう。 夢はただ甘く、弱く綿菓子のように存在するから『夢』なのだ。

そんな弱いもの、私は抱かない。

『夢だ』と言っている限り、夢のまま終わる。夢ってそういうものだ。 実現させるために抱くのはやっぱりもっと具体的なものだ。
今、綿菓子の甘さばかりを見ている彼女に、その脆さが見えているはずもない。


同じ大学を受け、共に落ちた。 私はそこは第3志望で、彼女は第1志望だった。
彼女はランクをかなり落とし、無理しなくても入れる大学に落ち着いた。まだその大学の一般入試も残っていると言うのに。

でも私は、あくまでそこは滑り止めでしかなく、第1志望に合格した。

その時点から、私たちの生き方は違っていたのかもしれない。 私は取りに行くと決めたものは、どれだけ遠回りをしても絶対取りにいく。(でもだから逆に、本気で取りに行くと思っていないものは取れない)
絶対譲れないものって、彼女にあるのかな。

まっすぐで、ひたむきで周りが見えないけれど、そういうところに芯の強さを感じない。
本当に欲しけりゃ、本気で取りに行けよ、と思う。

きっと本業の仕事もキツいのだろう。私だって職場によく来る生保のお姉さんをかなり邪険に扱っている節があるくらいだもの。もっとキツい人は、もっとキツい対応をするだろう。
だから、そんな、甘い綿菓子を求めるのか。
本業でもっと頑張ろうとは思わないのか。 尤もそれも自分がとりにいくと決めて取ったものかわからないけれど。



「でさぁ、そのセミナーっていつ?」(勿論行く気はない)

『今度の月曜日』


はぁん(ブラック、爆発寸前)


「あんな、その日仕事やねんけど」

『わかってる。でも19時からだし・・・22時までやってるから、途中からでも』


「私とこ、毎週月曜会議やねんか」

『会議かぁでもほんま一目その先生に会うだけでも!!!』


しつこいな。本音はその一言に尽きる。だいたい私は火曜も仕事なのよ。


「で、どこであんの?」

『S駅から近いよ』


S駅。大きなターミナル駅だが・・・昔住んでいたS市からなら電車で数駅、10分と掛からないが、今住んでいるところ・・ましてや勤務先からなら1時間半は絶対掛かる。第一絶対しんどい。 
これがデートとかなら何としても行くだろうが、そこまで行きたいものでもないし、そんなもののために翌日分の体力を消耗するのもアホらしい。

それに彼女の口からは『仕事帰りで疲れてるやろうけど・・・』とかそういう配慮の言葉がまったくない。
自分が来て欲しい、そればっかり良識ある人の話とは思えない。

「あのさぁ、△ちゃんも昔この辺にいたからわかる思うけど、そこまで行くの1時間半は掛かるよ?」


『うん、でも絶対めぐさんの人生にプラスになる話やねん。だから!!』


話にならない。 プラスになるかどうかは私が決める。


でも行かないといえば、とことん食い下がってくるだろう。


「会議も今、重要な案件抱えてるし、生指(生徒指導)もちょっとややこしいの学年で抱えてるから、絶対行けるって約束はできひん。だから、期待せんと待ってて」

『会議が早く終わって、問題もなかったら来てくれる?』


彼女って誰かと付き合ったら、絶対重いって思われるよなぁ・・・なんて頭の隅で思いながら、

「だからさ、突発的に事件が起こる現場やねん、ウチらは。18時に帰ろう思った日に限って、喧嘩だとか万引きとかで帰るの21時になることだって、ままあんねんからさ。絶対って言われへんねん」

『でも何もなかったら、来てくれる?』

「だからな・・・」


この押し問答が2回


余程『ウザいよ、そういうの』と言いたくて溜まらなかった。きっと言っても、自分のどこが悪いのか今はわからなさそうだから、やめたけど・・・。


「行けそうならメールする。メールがなかったらダメだと思って」


電話の向こうで、終電を告げるメロディが流れている。続いてアナウンス。

――――××行き、最終電車でございます。

ほどなく電車が滑り込む音。


『ねぇ。私の話聞いて、興味持ってくれた??』


(興味じゃなくて、失望するばっか)


「それ終電でしょ。早く乗りぃや。そっからなら、タクシー乗ってもだいぶかかんで。それじゃ、おやすみ」


『なぁ、興味持ってくれた?』

(鬱陶しいって・・・)


「うんうん。電車乗んねんやろ。切るよ、周りの迷惑になるし。 おやすみ」



きっとしばらく、彼女と話はしないだろう。


人間て、どこで判断を誤るのだろうか。


彼女は私たちの恩師にもセミナーに来てくれと勧誘していたらしい。

『この辺であるならまだしも、100km以上はなれたところにそれだけのために行けるわけないやんかー。ちょっと普通の判断ちゃうわな』と恩師も言う。


友達が本当にひとりもいなくなる前に彼女は洗脳から抜け出せるだろうか。


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