Think&Said to Myself
日々の日記と思いをミク●ィより赤裸々に(笑)綴りますw
授業の神様
この仕事をしていると、色々ある。
子ども同士のトラブルはもちろんのこと、教師同士の人間関係も色々だし、教師と子どもとの関わりもそう。
本当に常に神経をすり減らし続ける仕事と言っても過言ではないし、何が何でも教師になりたいという人がいる一方で、絶対に教師にはなりたくないという人がいるのも事実。
自分の不甲斐なさももちろんだけれど、外的な要因でも、何度「辞めようかな・・」と思ったかしれない。
きっと世の多くの教師が同じような瞬間を必ず一度は経験しているに違いない。何の苦労もなく楽しくて楽しくて仕方がなくてここまできた、という人は海に落ちた針を探すくらいの確率なんじゃないかと思う。
じゃぁ一体何が私たちをこの仕事と繋ぎとめているのかと言えば、時折降って来る奇跡の一瞬なのだ。
学校には時々、私たちにしかわからない神様が舞い降りる。
今年度の人事で、事実上飼い殺しとなった私の唯一の希望はと言えば、1年生で唯一1クラスだけ入っている授業だった。
2年生は全クラス入るものの、そのすべてを『理解が遅い子のサポート』として入らなければならない。
それはそれで大事な役目を担っていることは頭では重々理解できるのだが、自分主体で授業をする機会がないと、自分の価値を見失いそうになる。
時折、(別にこういう仕事は教員免許を持っている私じゃなくても、大学生のボランティアだってできる仕事だよなぁ・・・)という思いが頭をよぎるし、英語に苦手意識を持っていない子からすれば『あいつ、何の為に来てるん?』と思われる始末だ。
そんな中、唯一の1年生の授業。1年生もTTで入るが、相方の先生は『評価(成績)を最終的に判断するのは私だが授業は二人三脚で行きましょう』と言ってくれたのである。
私らしさを出せる唯一の可能性がまだ残っていた。
去年もTTで、メインで授業することもたくさんあったけれど、相方のベテランなエレガント先生の評価ばかりが気になって、ほとんどを先生の方針に合わせて授業することになった。
もちろんそれで私自身の授業のスキルも上がったことは上がったのだから、文句は言えないけれど常に顔色を気にしてばかりの私の態度は、きっと子どもにも見抜かれていただろう。
今度の相方、S先生は高校での経験の方が長いベテラン教師。中学校ではまだ3校目くらいだ。
高校教師と言うと、小中学校の教師はどこか恐縮(?)してしまいがちな傾向にあるけれど、英語に限っては向き・不向きの違いだと思う。
中学校と高校では、適切な教え方が大幅に異なっているからだ。
どちらを好むかの問題なのである。
私は本来、高校英語の方が自分の性には合っているのだけれど、中学校畑にいる以上、それを通していても仕方がないし、子どもが理解できなければ意味がない。
最初は幾分高校英語くさかった私の教え方も、中学校よりに変化してきた。
私の小さな野望は、いつか中高一貫校で働くことだ。これは学生の頃から密かに胸に秘めた野望である。
このS先生。もう自分の指導スタイルが完全に出来てしまっていて、それを少しでも曲げようとするとへそを曲げられるというところはありそうだけれど、きちんと理由を説明して納得してもらいさえすれば問題はない。
短気で、一旦ソリが合わないと思われると大変だけれど、同じ人見知りという共通点もあり、なぜか初対面の頃から嫌われていない・・どころか気に入られているらしい。
人間関係が円滑=仕事も円滑というのは常に言えると思うから、気の合う人とTTのペアが組めると言うのはいいことである。
前回の授業で、中学校での授業の注意点やS先生の自己紹介で終わり、最後に、
『じゃぁ、次はめぐさん先生の自己紹介を1時間やってもらうから』と言い渡された。
まさか1時間丸々は冗談だろうと、真意の程を確かめたらどうやら本気らしい
いくら喋るのが商売とは言え、自分の自己紹介だけで50分というのはキツい。
問題の時間がやってきた。
運悪く、6時間目。いちばんかったるい時間である。しかもこの日の給食は子どもたちの好物の王道、カレーライス
机に突っ伏して寝る奴続出だろうがよっ
別に今更授業で緊張したりはしないけれど、こんな事を考えていたら気が気ではない。
「S先生から1時間丸々喋れとむちゃブリされたので、がんばりまーーす!」なんておどけてみせると、にまーと笑う子が複数・笑
まず私の名前は当てにくいので名前クイズから入る。何て読むかな??
こっちの思惑にはまる子続々。気持ちいいくらいみんな間違えてくれる・笑
ようやくおとなしそうな女の子が私の名前を言い当てたところで、自分の簡単なプロフィールを喋る。この辺はさらっと。
「実はな、1組さんはとーーーーってもスペシャルなクラスなんです」
なんでなんで
「1年生の中で、先生が来るのはこの1組さんだけなんですやからほんまにヴェリースペシャルやねんでぇ」
言い終えて、自分から拍手を促すと『イエーイ』と返事と拍手が帰ってきた。ノリが超いいクラスw
どんなに腕のいい教師でも、子どもに恵まれていないといい授業にならない。
まして、私みたいなつたない者が、子どもに恵まれなかったら・・・たとえば、この後、ノリ良く返してくれるんじゃなく、みんな真顔でしーーーーーーーーーん・・としていたら、悲惨さはいかほどかわかるだろう。
あ、なんか良い感じ
と直感ww
一通りの自己紹介を終え、地元の方言クイズを交えつつ、地元の田舎で山で野生のサルにみかんを投げられたことなんかも交え、終始、笑いが耐えない。掴みはOK
せっかく1時間ももらえるのなら・・と是非言っておきたかったことに入った。
自分の体の事だ。
ついこの間入ってきた1年生にとって、私はフシギな存在でしかないらしい。しかも他学年所属の私は馴染みがないので余計に好奇の目で見られることになる。
たいていはフシギそうな目を私の膝から下に向けるだけだが、中には露骨に歩き方をまねする子もいた。
1年生とは信頼関係がまだないので、いきなりそういう生徒を注意しても逆効果だ。その場は気づいていないフリをしてやり過ごしたけれど、こういう嫌な兆しが広まるのは避けたかった。
「先生のことで、みんなフシギやなって思ってることあるんちゃう?」
誰も何も答えない。ムードメーカーの子もお調子者の子でさえもだ。やはり中1は中1なりに気を遣っているのである。
「気にせんでいいよ、言うてみ」と言うと、1人の女の子がおずおずと『足』と言った。
いつもよりやわらかな口調を意識して、続ける。
「そうやな。きっと言うてくれた子以外にも、フシギやなって思った子、いっぱいおると思う。
せやけど先生うれしかったのはな、1組さんはさいっしょから、普通に迎えてくれとったやろ。そのことがほんまに嬉かってん」
そこからなんで今に至るかっていう経緯を掻い摘んで話した。
「みんなな、赤ちゃんはだいたい生まれたとき、どんくらいの重さかわかるー?」
3キロ!とまともな答えが返ってくる一方で・・・
『5kg』
爆笑が起こる。 あのなぁ・・・お母さんにどれほどの難産を強いる気だよ笑
「5キロもあったらお母ちゃんエライ苦労すんで さっきも言うてくれたけど、だいたい3キロくらいなんやな。
せやけどな~先生は1200(g)でした。」
一瞬静かになる。 その後、ちっちゃ!なんて声も聞こえる。
「どれくらいか言うと、ちょうど洗剤あるな。アタックとか、ニュービーズとか、ボールドとか、あれがちょうど1キロちょっとや。あれと同じくらい。片手で余裕で持ち上がんねん」
赤ちゃんを片手で持ち上げるのを想像してか『危なっ』なんて声も聞こえる。 軽さの例えよ・・・
そこから今までのことをざっと聞かせる。お調子者も黙って神妙に聞いてる。
1年生でまねをしていた子の話もして、正直にショックだったことも言う。
「小さいときにはね~同じ団地のおばちゃんに『あのおねえちゃんと遊ぶと病気がうつるから、遊んじゃあかんよ』なんていわれたこともあるしね」
そう言うと、ムードメーカーが『はぁ?そんなん、感染症じゃないし』と憤慨している。嬉しく思いながら、
「せやろ?そんな中学生でも当たり前にわかることが、ええオトナにわかってなかったりするねん。せやからみんなには先生を通してでもいいから、正しい知識を身につけてほしいと思う。」
できること、できない事も話す。今までの経験から、最初に言っておかないと、子どもの力を借りたいときに貸して貰えない。
「先生は狭いところを何かをよけながら歩くのがとっても苦手です。でもなるべくみんなの近くに行きたいから、英語の時間はなるべく鞄を机の端の方ーに寄せといてくれると有難いんやわ」
そうするとみんな一斉に鞄を意識する。1年生、さすがこういうところが素直
ムードメーカー、ここでもいいところを発揮して、自分のスポーツバッグをイスの下に入れ、
『先生の授業は(机の下に鞄を)インしようぜ!!!』
・・・『インしようぜ』って名言ね・笑 なんかジーパンの中にシャツ入れようぜ的なノリね・・・笑w
「ええわ~最高」(いいことをしたら、おだてまくる)
「『ちょっとまて。車は急にとまれない』って聞いたことあるな。この中学校ではもう1個大事なこと覚えて帰って。『ちょっと待て。センセは急に避けれない』」
「1年生って、すっごい元気やから、休み時間でも廊下とかよう走り回ってんねんな。みんなやったら『あ、危ない!ぶつかる』思ったらさっとよけることできるよな?せやけど、先生は危ない!避けなあかんと頭で思ってても体がついていかへんねん。だからぶつかりやすいし、ちょっとぶつかっただけでもこけてしまう。せやからみんな、先生見つけたらぶつからんように気ぃつけてな。 他のクラスの子はこの事知らん思うから、またみんな教えたげてな」
任しとけ”みたいな笑顔が返ってくる。
その後は質問コーナーを設けたら、うじゃうじゃどうでもいい質問が。
映画を見るのが好きだと言ったので『ポップコーンは塩味ですか?キャラメル味ですか?』笑
『昨日の晩御飯はなんですか?』(聞いてどうするんだ?)
『好きな男性のタイプは?』(マセガキーー笑)
『マクドのメニューですきなのはなんですか?』
『東北の地震に募金はしましたか?』(超現実的)
そんなこんなで和やかに授業は終わった。ここまで盛り上がれる自己紹介だけの授業も珍しい。
幸先の良いスタートが切れて、仕事に行く楽しみが増えた。
赴任して3年目の春。最初は自分の体の事もうまく話せなかったが、洗剤と一緒くらいの重さとか『ちょっと待て』の標語もどきも自分で編み出したもの。
私と接することで、正しいモノの見方を体得して欲しい。
普通に同じ人間として違和感なく接せれる人になってほしい。
だんだん自分のことを開示できるようになってきたのはいいことかな。
最初は出来ないことがある自分が嫌だったけれど、いつかどこかで呑みこめる、呑み込まざるを得ない時期が来る。
そうなるまでが苦しくて、葛藤するんだけれど、一旦受け容れてしまえば、どうと言う事ないのよね。
「先生はこれができません!だからそこはみんなの力を貸して」
そう言うことが辛かったのに、言えるようになった今は、フシギなもので言わないときより気持ちが軽い。
もちろんその言葉をあったかく受け止めてくれる生徒がいてこそなんだけれど
授業の女神がいつまで微笑んでいてくれるかはわからないが、1年生の授業がしばらく私の癒しになりそうである。
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