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Think&Said to Myself

日々の日記と思いをミク●ィより赤裸々に(笑)綴りますw

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嘘で出来た壁

訓練室に入った瞬間、無意識のうちに癒し系P.T.を探して視線が宙を泳ぐ。
そんな自分にP.T.を見つけた頃に気がついて、嫌気が差す。

そんな土曜日に変わりはない。。。

今日はP.T.の射抜くような視線は向かってこなかった。それで少しほっとする
あの視線に射抜かれたら、私の心の壁は崩れてしまうから。あっけなく。私はきっとどこまでも子どもになってしまう。
それが怖いから。







今週からリハビリ開始時間より少し早く来て、家でするようにといわれている自主リハをP.T.の前にもやってほしいとのことで、開始時間より少し早めに行くと、いつもなら前のクランケの訓練をしている担当P.T.が山のようなカルテの乗った机に向かっていた。

私の姿を認めると、挨拶もそこそこにケータイを取り出し、それも用意していたようでカバンの中から・・・とかではなくサッと出てくる。

「さ、自主訓練してくれますか」

とケータイのアラーム機能を使い、時間を計り始めた。


たまたま今日、前の時間帯にクランケの予約がなくて溜まったカルテ記入をしていただけなのか。
それとも自主訓練があるから、わざと前の時間を空けていたのだろうか。


自主訓練の体勢を取っていて、ふとあることを思いつく。そのまま口にしてみた。

「よく、刑事ドラマなんかでこんな格好で死んでる場面ないですかー??よく白いチョーク跡とかこんな形になってるシーンあるでしょ」
と私が軽口を飛ばすと、「めぐさん、サスペンスの見すぎ」笑

だって刑事物好きやねんもん・笑

それと言うのも、うつ伏せに寝そべり、片手片足を曲げ広げた姿勢なのだ。これがリハビリでなければ、寝相が悪いとしか言いようがない。


はははははーwなんて笑い飛ばしながら、私は心の奥底で、違うことを考えていた。

わざわざリハビリをする日に、する直前に自主リハをしろなんて、今までなかったことだった。もはやリハビリだけでは追いつかないのではないか。

夕立の前の空のように心に黒雲が広がっていく気がした。

それを払拭したくて、違うところへ意識を向けようと意識した。右手からは据え置きのラジオから流れる平井堅の新曲。DJの声は聞き覚えがあった。どうやら局は、FM802らしい。
平日は子どもとP.T.の声以外何も聞こえないが、土曜日はなぜかラジオが流れっぱなしだ。

左手からは、癒し系P.T.の声。もう付き合いが長いらしい、20歳くらいの男性クランケの訓練だった。
この2人が会話をしていると、本当におもしろい。

「ちょっと太ったんちゃうん?この間までダイエットしてたのに」(また体重ネタ・笑)
『一時痩せてんけどなぁ。来週までに体重は無理でもウエスト減らすわ』
「体重減らさんと、どやってウエスト減らすねん」

癒し系P.T.があまりにも淡々と、しかも間髪いれずにツッコむので吹き出しそうになってしまった。

「今80kgくらいあるんちゃうんか。せめて10kg落とせや。風呂とか跨ぎにくないかー」
『そうなったら真剣に減量するわ』
「そうなってからやったら遅い!!」
『わかったわかった!来週までにウエスト減らすって』
「だからどないして減らすねんウエストだけ」


ボケとツッコみが自然と成り立っている。さすが双方大阪人・笑

クランケと漫才を繰り広げながらも、最後は身体の問題に帰結する。彼はいつもそうだ。


癒し系のほうへ研ぎ澄ましていた意識を担当のP.T.へと向けると、何やら小難しい表情。どうやら力がうまく入らないらしい。


いつもと違う訓練方法に切り替えられた。


気温が低下してきてからというもの、内反足がひどく、自分の足なのにあまりの曲がりように内心「気持ち悪っ」と思ってしまう。


「この間、リハビリの後で研修やったじゃないですか。そん時にねー、F駅で降りれんくって。結局2駅先まで行ってしもたんですよ」

『なんでー?』

「ホームと幅が空いてて」

『あーなるほどね。』

「そこから引き返したけど、それでも無理で。結局高校生に手ぇ貸してもらってやっと降りたんです」

『前から降りにくい駅やったの?』

・・・・・・・。。

「いえ、4月に辞令を貰いに行ったときには自分で・・・(降りられました)」

『そうか』

「結局研修は『本日のまとめ』しか聞けなくて。・・・あーあ、そんなんならいっその事、リハビリやから休みますってサボればよかったなぁー」

『こらっ』とP.T.は笑うw

もちろん、「サボればよかった」なんて本心ではない。笑い飛ばしてしまうことが苦しいけれど、楽なのだ。


ここ何日か、膝が伸びづらいこと、左足の内反足が強まっていることは口にしなかった。
内反足が強まると、自ずとそちらの足の尖足(爪先立ち)が目立ってくる。最近の私の左足はもはやもう指先の第一関節より先の部分しか地面に付いていない。

そうなってくると、より立位保持が困難になる。

アキレス腱の伸展、屈曲もスムーズではない。冬がくれば気温の関係でどうしてもかたくなりやすいが・・・。


思うように膝が伸びないとき、つかまり立ちでも尖足が抑えられない時。

怖いのか、何なのかわからないけれど、切羽詰る思いに潰されそうになる。

でも口に出来なかった。この人になら言ってもいいはずなのに。



『そういえばTさんもね、幅が空いてると乗り降りしづらいって言ってはったわ』
『あとね、「席を譲られても困る」って。真ん中のほうの席を譲られても、降りられないって。掴まるところがなくて立ちづらいし、立ててもドアのところに行くまでに発車してしまうんだって。だからドア近くの壁際を譲ってくれるのが一番ありがたいんやって。』

それ、私もそうです!と思わず言っていた。

今私の最寄り駅は終着駅だから、終点まで乗っていていいのでそんなに焦らなくなったが、以前はそうではなかったのでゆっくり降りる時間を取れない。
電車が混んでいて人がいっぱいいると真ん中の方の席からドア付近に行くのに時間が掛かり、降りられるかを考えるとすごーくストレスを感じるのだ。かといって、電車が動いているうちに移動することはできないし。

「立ちにくいのは椅子の背もたれ部分に手を置いて少し腰を浮かせて、後は反対の手でつり革につかまって、それでよいしょって自分を持ち上げれば、スムーズに立てるんです。今度Tさんに教えてあげてください」

『へぇぇー』

掴まらないと立てなくなってから編み出した知恵だった。尤も人によって微妙に出来る・出来ないに差があるのでその方法がTさんにも有効かどうかはやってみなければわからないが。

「私は、人に席を譲れないのがいちばん悔しいかなぁ」

『え?』

「もうつり革だけで立てないから。目の前に困ってそうな人がいても、譲れない。それが一番悔しいんですよ。前は少し席が空いてても元気なときはわざと座らずにいたし。お年寄りとか妊婦さんにはじゃんじゃん席どうぞ
って感じやったし。今は、譲りたいのに見て見ぬ振りしなあかん。そんな自分がいたたまれへんから寝た振りです。卑怯ですよねー。   まだ学生やったときに、環状線で臨月らしい妊婦さんが立っててね、『どうぞ』って言ったけど、その後自分がふっらふらで。見かねたその妊婦さんに逆に譲られ返されてもて・・・。
なっさけねー!かっこわるっ!!って感じですよねぇ、あはは

実際、今でも思い出すと『あはは』な気分ではいられない。なっさけねー!かっこわるっ!!と笑い飛ばしてしまえないのだ、まだ。
なのに、なんで私は、ここまで虚で固めるのか。


本当は譲られ返された後、そんな自分が不甲斐なくてその場から消えてしまいたいと思った。隣のおばあさんがすっごく良い人で、「いいのいいの。あなたのその優しい気持ちだけで充分よ。きっとあの方もわかってはるわ」と言ってくれたのだ。
それでだいぶ救われた。


だいぶ、担当P.T.のN先生とも信頼関係ができてきて、色んな話をするようになった。N先生の方も、

『私も妊婦だったときにね、妊婦さんに「私の方が(お腹)小さいから」って席譲られたことあるよー。いやいや貴方も妊婦だから!笑   でもねー、ピンピンしてるオッサンは絶対譲ってくれないんよねぇ。やっぱ女の気持ちはわからへんのかなー・笑』

なんてざっくばらんに喋ってもくれる。

でも、私の中で、ある変化が出てきていた。信頼関係ができればできるほど。


本音を隠す。悪い本音を。


自主リハを始めて、少し持ち直して筋肉を軟らかく、体幹の歪みも多少マシに維持できていたときのあのN先生の良い笑顔。
それが忘れられないから。

そして、少し硬くなってきたときの、先生の表情の翳りも瞼に焼き付いてるから。

もちろん、私が先生でもきっと同じ反応をする。


通常は40分と決まっているのに、最近おそらく意図的に一番遅い時間に予約を入れてくれて1時間半してくれたり。

そんな先生を見ていたら、先生が気が付かない限り、最近調子が悪いなんて言えない。
まぁ向こうもプロだから、それくらいとっくに気が付いているだろうけど。


なんでも「トシですかねぇーもう」とか「情けないわー」と笑い飛ばして、私は大丈夫と見せ付ける。あたかも大丈夫であるかのように。
でも本当は独りになったとき、気が狂いそうだなんて、誰が言えよう?

一番理解して欲しいのはそこだと言うのに。


自分が崩壊しそうで怖いんだと、どこまで(機能が)堕ちていくのかを思ったら喚きたくて泣きたくて、でもそれさえ満足にできなくて。


でも、それを押し隠し、「あっははは」ですべて済ませる。私は全然ヘコんでないよとアピる。



空虚感に包まれて、病院を出た。

一番理解して欲しい人にまた、強がりを言った。

また、本当の私と違う印象を積み上げた。

心配させたくなくて。
失望されたくなくて。
頑張ってる先生が先生自身を責めることがあるかもしれないのが嫌で。

クランケに気ぃ遣われるのも、迷惑かもしれないけれど。


知り合いのCPの患者の話をし、「どう過ごすかで人生変わると思うんですよね」

もちろんこれも本音。だから、気が狂いそうになるなんて言ってもいられないけれど、でもやっぱり思うようになる、その範囲が狭まると、私がどんどんダメな人間になっていきそうな気がする。

理屈ではちゃんと違うってわかってるのに。

苦しいよと
  いえるのはP.T.
      だけなのに
        強がり積み上げ
            我が首絞める


皮肉な短歌。お粗末サマでしたw


私はいったいだれに助けを求めればいいんだろう。

これ以上失いたくない。

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