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Think&Said to Myself

日々の日記と思いをミク●ィより赤裸々に(笑)綴りますw

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床ずれ??

「足や股関節の影響で寝返りが打ちづらくなる・・・ということはありますか」



そう問うた私に担当のP.T.は、YesともNoとも言わず、訝しむような表情を私に投げかけた。


私は男性P.T.から死角になるところに自分の体を向け、着ていたNIKEのハーフパンツのウエストを少しめくった。


下着のゴム(なんだろうか。違うような気がする。イマドキ、ウエストゴムの下着なんて誰も履かんだろう。でも何と表現していいかわからない。自分の着ている下着なのに素材がよくわかってない)が当たるか当たらないかの場所。腰骨がちょうど張り出しているあたりには、不釣合いなバンドエイドがでかでかと張ってあった。ガーゼ部分には、朝張り替えたばかりだというのに、少し膿がにじんでいるのが見て取れた。



「これ、どうしたん?」


ようやくP.T.がその口を開いた。事の次第を私は伝えた。



数日前に患部の擦過傷のようなものを見つけたこと。ズボンやスカートの生地が擦れて痛いのでバンドエイドを張っていること。どこにもぶつけたり擦ったりした覚えがないこと。。


CPが少し悪化してからは、ほとんどないに等しかった歩行時の上半身の揺れや腰の揺れが増えたから、細いところをすり抜けたり通るときによく足や腰をぶつける・・ということはある。しかし、ぶつけたのなら打ち身やアザになるはずだ。このようなじくじくとした擦過傷にはならない。



不吉な考えが頭をよぎる。


そういえば、ここ何ヶ月か眠ったときの姿勢で目覚めることが多いよなぁ・・とか。
腰の痛みで目が覚めたら、それは着ていたスウェットの凹凸が腰に当たりっぱなしで痛かったことを知ったりとか。。


―――‐―もしかして私は無意識のうちに寝返りを打つことができてないんじゃないか?
       今回の擦過傷もずっと同じ位置で寝ていたからじゃないか?



小さい頃はベッドなんてウチになかったから無意味にごろんごろん転がって遊んでいたけれど、そういえば最近、特定の方向への寝返りは覚醒時でも今からこっちに行くぞ!と自分で意識しなければ難しくなった。
でもだからって、床ずれなんて・・・・。。



「床ずれかな?なんて思ったんですけど、そんなんあるわけないですよね。だって床ずれって、長時間寝ることの多い介護が必要なおじいちゃんとかにありがちなイメージじゃないですか」


大きな影を自ら払拭するかのように、私の声は妙に明るかった。何故かその声は、訓練室の中で浮いて響いた。


「めぐみちゃん。床ずれは2時間程度同じ場所に圧が掛かり続けただけでもできるのよ」



・・・・・・・・・・・・・ぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



知らなかった。



「でも、比較的栄養状態のよくない人が床ずれにはなりやすいし、あなたの場合、若くて栄養状態も悪い感じじゃないでしょう。体力もある。それに自力で動けないほど身体機能がないわけじゃないからそれだけで床ずれと判断するのはできないけどぉ、」


P.T.の声はいつもと同じトーンだったが、僅かに固かった。

どうしたの?いつもみたいに豪快に「そんなのお年寄りがなる病気よー。あんたはまだまだ」とかって笑い飛ばしてはくれないの?


「けど、この間疲れてベッドに腰掛けたまま上半身だけ布団に倒したまま朝になってたとも言ってたでしょう。」



皆で笑い話にしたものだった。
リハビリとバイトが重なっている日に、帰宅後あまりの疲労に荷物を置いて、コートを脱いだらそのままベッドに座って「5分だけ」とバタっと上半身を倒した。そのまま目が覚めると日が昇っていて、体のあちこちが痛かった。
「器用な寝方するねー」なんて皆に笑われたものだ。


「それくらい疲れているときだと、普通の寝方をしたとしても寝返りを打つ体力もないくらい疲れていてできないということはあるかもしれんね。まぁでも股関節が固くなってくれば、前よりも打ちにくくなる可能性はあるよ」


やっと初めの問いの答えが出た。



今後も患部がひどくなるようなことがあったら皮膚科に、同じことが繰り返されたらすぐに伝えるように念を押された。


自宅でできるリハビリをもう1つ教わった。簡単そうに見えて案外しんどい。でも筋トレの一種だと思えばいい。



いつも渡される蛍光ピンクのナイロンバッグ。カルテと医療点数計算用紙が入っている。



「あ、今日はね、カルテ受付に置いてるから受付で声掛けて支払いして帰ってー」



偶然だろうな、とは思うけれど、カルテに私が見て都合の悪いものが書かれていて、だから私に直接渡さないのか・・・なんていうげすの勘ぐりをしたりしてしまう自分が嫌だった。
そもそも私がカルテを見ているところを誰かに見られたことはないし、見た後も向きから何から元のままにそのバッグの中にしまっているのだ。まさか、知らまい。



もし、これがただの擦り傷じゃなく、床ずれだったら?



闇がぽっかりと口を開けたのが見えた気がした。。
私はどんどん「普通」じゃなくなっていくのではないか。そんな思いに駆られる。

「普通」とかそうではないとかの基準などそもそもないし、それはいったいなんだと問われたら私のなかに明確な答えはない。


でも、床ずれを起こす健康な22歳など聞いた事がない。



わたし、寝返りも打てなくなってるの?



P.T.でさえ、今の段階では判断がつきにくいのだから、一晩誰かが見ていない限り、寝返りを打っていないか否かなんて誰にもわからないけれど。。



床ずれじゃなくて、ただ私が片付けが行き届いてないベッドで寝て、雑誌の角にたまたま腰が当たって擦ったんだとか、そういうことであって欲しい。


これから、多少動きづらくなるのはある程度は仕方のないことだけど、でも床ずれなんて・・ほんと勘弁してほしい。


股関節がいかに体幹機能を左右するか、ここ何ヶ月かで思い知った。




卒論も一応提出が木曜だが、執筆する元気が出ない。いっそこのまま寝てしまいたいけど、寝るのが怖い。




しかし、恐怖を感じる一方で、どこか現実味を帯びないのだ。「床ずれ」という言葉があまりにも私の日常からはかけ離れていて。
親戚に要介護の人はいたけれど、床ずれなんて言葉が聞かれた事もなかったし。




わたしが壊れるようで、崩れるようで怖い。




もし、本当にこれが床ずれだったなら?



そんなこと考えるのやめようと思っても、私の脳は聞き訳がない。CPに効く特効薬は開発されないの?CPは事実上、進行しない病だから、発症例が少なくなればそれでいいの?



教師として働く未来を、イメージできる。大丈夫。
でもイメージの中のわたしは、今の身体機能のまま。
おばさんになっての教壇に立つ姿を思い描ける?想像できる?




・・・・・・・・・・・・・・・・・。




怖いよ。年齢を重ねるのが。。



こんな日に、黙って一緒にいてくれる人がいればどんなに心強いかと思う。でも、、、



そんなやさしい人がいたならば、私はこの恐怖もいともなく形にしてしまうだろう。泣き叫び喚き、いとも簡単に、私の内側の正常な狂気を曝け出してしまうのかもしれない。



だったら、独りでいいか



帰省をすれば、着替え中でさえノックなしに入ってくるデリカシーのない母親は、このバンドエイドに気づくだろうか。考えれば憂鬱になる。


安心して、帰れる場所はもうない。。



お願い。私を誰にも触れられない場所に置いていって。


望んでもいないことをつい口走りたくなる。
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