Think&Said to Myself
日々の日記と思いをミク●ィより赤裸々に(笑)綴りますw
食いしばったこころ
いつもより硬い手が、私のあちこちに触れていく。
時にその手に似て、しっかりと。
時にその顔に似て、優しく。
すみずみまで確かめたあと、不意に一点に力を入れる。
私の細胞が目を覚ます。私の中の目覚めていない部分。。
何の話って、リハビリの話・笑
オチそれかい・・・って思った方、ごめんなさい・笑
その後の会議で、1年2組の担任が決まった私は、心をあるひとつの不安に支配されていた。
1年生と言えば、入学式。
そして、新入生の担任と言えば・・・・・・・・
絶対に前にずらりと並んで「担任紹介」というのがどこの学校でもある。その間、立っていられるのか。
私は、どういう仕組みでそうなのか知らないが、歩くことよりじっと立っているというのが難しい。特に最近では調子が悪いと、たった数秒自力では立てず、ふらふらとしてしまう。
よたよたしようが、こけようが、私は一向に平気だけど、なんせ舞台は入学式。
子どもも保護者も担任の足が不自由だというだけでまず驚きなのに、そこでよたよたしていたり転んでしまっては「この先生、大丈夫なん?」となるのは想像に難くない。
そんなわけでもう、その日のことを考えると叫びだしたくなるような妙な不安感や重圧が襲う私は、リハビリに行ったときに担当のP.T.にすがるように、「立てるようにしてください」と言ったのだった。
いつも担当のP.T.は女性なのだが、女性のP.T.では力が足りずに出来ない訓練があるらしく、急遽男性のP.T.が応援に入って2時間みっちりリハビリしてくれたのだった。
助っ人に入ったP.T.は手術の話のときにも、熱心に話し合いに参加してくれたあのP.T.である。
「のーん」とした癒し系の表情でやってきたP.T.は「1年生の担任かぁ。大変そう。」と言いながら、私のあちこちに触れていく。
素人目にはまったくわからないが、それだけでどこの筋肉に負担が掛かっていて、どこの筋肉が使われていないのかがわかるらしい。・・・プロ
私の筋肉の特性を把握したP.T.は不意に力を加えていく。使われていない筋肉に刺激を与えるためだ。
傍目から見たら、ただ指一本で押さえているようにしか見えないのだが、押さえられている本人は、体中が押さえつけられるような感覚に陥る。ひどいときは歯を食いしばって耐えねばならない。
小さい子はこの感覚によく泣く。
骨ばった男性特有の手の感触とは対照的に、その触れ方は優しいものだった。
表情そのまんまやねんな・・・なんて思いながら、襲ってくる「はりつけ」的な感覚に耐える。私の体はそれに抗おうと時々意識とは関係なく足が動く。女性P.T.はそれを抑えられないので、それが自然におさまるまで待つのだが、さすがは男性P.T.、その力で難なく抑え込まれてしまった。
意思に反して、その見えない圧力から逃れようと私の体が動くとき、私はしんどい思いをする。あまり心地のよいものではない。
しかし、動かないようにぐっと抑え込まれたのは逆に安心感があった。変に力が入った状態で動かすのを阻止されるからだろう。 「はりつけ感」は抜けないけどね。
掛けている力が筋肉に伝わっていくのが、わかる。
(この人、やっぱりすごい)
なかなか、初めてのP.T.で効果が実感できることは少ない。それは相手に自分の体の特性がよくわかっていなかったりするからだろう。しかし、初めてリハビリをしたP.T.にも関わらず、それもリハビリをしている最中に効果が実感できるのだ。
家で出来るリハビリも、今までとは違うものを教わった。こちらの方がひとりでもやりやすいので効果はあるだろう。
今まで詳しくは聞かされてこなかったボイターの原理。それから、私の筋肉の特性などがその男性P.T.の口から語られた。
「食器の乗ったおぼんとかトレーを持って歩きにくいのはココの筋肉に力がうまく入らないから」と背中の肩甲骨の上あたりをぽんぽん、と叩く。
麻痺しているのは足なのに、足だけの問題ではないんだな。。
「肩もばっりばりにこってんな~」
あはは・・・これはみんなに言われる
終わったあと、タオルやらジャージやらを鞄に詰めなおしていると、男性P.T.の声が聞こえてきた。どうやら担当のP.T.と話をしているらしい。
「あの子に中途半端な事は言うたらあかんで。頭はいいから、リハビリもイメージさえ与えてやればきちんとその通りにできるし、自分の体の事も納得して理解したいと思ってる。現状を的確にわかりやすく言うてやるべき。その場しのぎや気休めはあかん」
のほほんとした顔をしたプロフェッショナル意外。
初めて、教師以外の人の生き方や人間性を尊敬した瞬間だった。
普段、挨拶しか交わしたことのない人が、何故ここまで私の性格を見抜いているのだろうか。
「立ちにくいことは周りに言ってみた?」と戻ってきた男性P.T.
「言うたんですけど、なかなか周りは歩くほうが難しいと思うからピンとこないみたいで・・・」
「そうよなぁ。立ってるほうが難しいのになかなか理解されへんのよな・・・頑張らんでええよ。生徒に手ぇ繋いどいてもろたっていいし。『ちょう、あんた手ぇ貸してー』って。」
出来なくはないけど、中学校入って初日の子にそれはさせられないわ・笑
帰る頃、来る前よりもかなり良い状態にまで持っていけてることはわかった。しかし、立っている時間は1分と持たない。リハビリにも限界はある。
入学式当日。周りの新任の先生とはまた違った理由で不安な面持ちをしていた私。
学年主任が私のところに来て、「俺、すぐ隣に立つからなんかあったら掴め」と言ってくれたものの、心の中の見えない黒は消えない。。
引率の際、階段を下りるのも遅い私を、先頭のO君とAさんはきちんと私より前には出ずに歩いてくれる。
何も言わないのによく出来た子らやなぁ・・・とぐっと来てしまった。
式は予定通り順調に進み、そして・・・
『1年生の先生方を紹介します』という司会の声が掛かる。舞台前まで歩いたものの、歩みを止めた瞬間、
あかん・・・立たれへん
なんでこんなときに・・・・・・
思わず、舞台前の階段の端を掴んだ。それを見て主任が、「掴まってええから、もっと前出よ」と小声で言う。
私は、学年主任のスーツの袖にしがみついていた。高そうな肌触りのスーツやなぁ・・・なんて考えて気を紛らわそうとしたけれど、やっぱり情けないし、悔しい。。
立ち場所を調整する振りをして一度下を向き、唇を噛んだ。情けない、情けない、情けない。。
でも。。。
今日の主役はあくまで328名の新入生。36名の私のクラスの子どもたち。前を向いてやろうじゃないか。しっかり。
顔を上げた。
目の前には緊張に満ちた面持ちの子どもたちがいた。私の生徒が。
先生、頑張るで
『2組、担任、めぐさん先生です』
主任のスーツの袖を握り締めたまま、一歩前に出、頭を下げた。そこには祈りも込められていた。
こんな私ですが、宜しくお願いします。 些細だが切実な願い。
そのまますべてのクラスの担任と副担の紹介が終わるまで、私は袖を掴んだまま、必死に立っていた。
メガネは掛けていなかったから、後ろで見る保護者がどんな顔をしているのかまではわからない。
正直、その場からいなくなりたかった。
でもたかがこれしき耐えられないようでは、これから先の教師人生が思いやられる。
新入生退場。殊更胸を張って歩いた。こんな事で、背中は丸めない。下は向かない。36名の私の子どもたちはこの背中を1年間、見るんだから。
学活で教科書を配り、連絡事項を告げ、「さようなら」をする。誰もいなくなった教室のみんなの机を整えて、職員室に帰った。主任に礼を言い、自分の椅子に座る。
今日1日が溢れ出てきた。
こんな私が悔しかった。
(CPのくそばか野郎)心の中で悪態もついてみた。
空虚が広がっただけだった。
時にその手に似て、しっかりと。
時にその顔に似て、優しく。
すみずみまで確かめたあと、不意に一点に力を入れる。
私の細胞が目を覚ます。私の中の目覚めていない部分。。
何の話って、リハビリの話・笑
オチそれかい・・・って思った方、ごめんなさい・笑
その後の会議で、1年2組の担任が決まった私は、心をあるひとつの不安に支配されていた。
1年生と言えば、入学式。
そして、新入生の担任と言えば・・・・・・・・
絶対に前にずらりと並んで「担任紹介」というのがどこの学校でもある。その間、立っていられるのか。
私は、どういう仕組みでそうなのか知らないが、歩くことよりじっと立っているというのが難しい。特に最近では調子が悪いと、たった数秒自力では立てず、ふらふらとしてしまう。
よたよたしようが、こけようが、私は一向に平気だけど、なんせ舞台は入学式。
子どもも保護者も担任の足が不自由だというだけでまず驚きなのに、そこでよたよたしていたり転んでしまっては「この先生、大丈夫なん?」となるのは想像に難くない。
そんなわけでもう、その日のことを考えると叫びだしたくなるような妙な不安感や重圧が襲う私は、リハビリに行ったときに担当のP.T.にすがるように、「立てるようにしてください」と言ったのだった。
いつも担当のP.T.は女性なのだが、女性のP.T.では力が足りずに出来ない訓練があるらしく、急遽男性のP.T.が応援に入って2時間みっちりリハビリしてくれたのだった。
助っ人に入ったP.T.は手術の話のときにも、熱心に話し合いに参加してくれたあのP.T.である。
「のーん」とした癒し系の表情でやってきたP.T.は「1年生の担任かぁ。大変そう。」と言いながら、私のあちこちに触れていく。
素人目にはまったくわからないが、それだけでどこの筋肉に負担が掛かっていて、どこの筋肉が使われていないのかがわかるらしい。・・・プロ
私の筋肉の特性を把握したP.T.は不意に力を加えていく。使われていない筋肉に刺激を与えるためだ。
傍目から見たら、ただ指一本で押さえているようにしか見えないのだが、押さえられている本人は、体中が押さえつけられるような感覚に陥る。ひどいときは歯を食いしばって耐えねばならない。
小さい子はこの感覚によく泣く。
骨ばった男性特有の手の感触とは対照的に、その触れ方は優しいものだった。
表情そのまんまやねんな・・・なんて思いながら、襲ってくる「はりつけ」的な感覚に耐える。私の体はそれに抗おうと時々意識とは関係なく足が動く。女性P.T.はそれを抑えられないので、それが自然におさまるまで待つのだが、さすがは男性P.T.、その力で難なく抑え込まれてしまった。
意思に反して、その見えない圧力から逃れようと私の体が動くとき、私はしんどい思いをする。あまり心地のよいものではない。
しかし、動かないようにぐっと抑え込まれたのは逆に安心感があった。変に力が入った状態で動かすのを阻止されるからだろう。 「はりつけ感」は抜けないけどね。
掛けている力が筋肉に伝わっていくのが、わかる。
(この人、やっぱりすごい)
なかなか、初めてのP.T.で効果が実感できることは少ない。それは相手に自分の体の特性がよくわかっていなかったりするからだろう。しかし、初めてリハビリをしたP.T.にも関わらず、それもリハビリをしている最中に効果が実感できるのだ。
家で出来るリハビリも、今までとは違うものを教わった。こちらの方がひとりでもやりやすいので効果はあるだろう。
今まで詳しくは聞かされてこなかったボイターの原理。それから、私の筋肉の特性などがその男性P.T.の口から語られた。
「食器の乗ったおぼんとかトレーを持って歩きにくいのはココの筋肉に力がうまく入らないから」と背中の肩甲骨の上あたりをぽんぽん、と叩く。
麻痺しているのは足なのに、足だけの問題ではないんだな。。
「肩もばっりばりにこってんな~」
あはは・・・これはみんなに言われる
終わったあと、タオルやらジャージやらを鞄に詰めなおしていると、男性P.T.の声が聞こえてきた。どうやら担当のP.T.と話をしているらしい。
「あの子に中途半端な事は言うたらあかんで。頭はいいから、リハビリもイメージさえ与えてやればきちんとその通りにできるし、自分の体の事も納得して理解したいと思ってる。現状を的確にわかりやすく言うてやるべき。その場しのぎや気休めはあかん」
のほほんとした顔をしたプロフェッショナル意外。
初めて、教師以外の人の生き方や人間性を尊敬した瞬間だった。
普段、挨拶しか交わしたことのない人が、何故ここまで私の性格を見抜いているのだろうか。
「立ちにくいことは周りに言ってみた?」と戻ってきた男性P.T.
「言うたんですけど、なかなか周りは歩くほうが難しいと思うからピンとこないみたいで・・・」
「そうよなぁ。立ってるほうが難しいのになかなか理解されへんのよな・・・頑張らんでええよ。生徒に手ぇ繋いどいてもろたっていいし。『ちょう、あんた手ぇ貸してー』って。」
出来なくはないけど、中学校入って初日の子にそれはさせられないわ・笑
帰る頃、来る前よりもかなり良い状態にまで持っていけてることはわかった。しかし、立っている時間は1分と持たない。リハビリにも限界はある。
入学式当日。周りの新任の先生とはまた違った理由で不安な面持ちをしていた私。
学年主任が私のところに来て、「俺、すぐ隣に立つからなんかあったら掴め」と言ってくれたものの、心の中の見えない黒は消えない。。
引率の際、階段を下りるのも遅い私を、先頭のO君とAさんはきちんと私より前には出ずに歩いてくれる。
何も言わないのによく出来た子らやなぁ・・・とぐっと来てしまった。
式は予定通り順調に進み、そして・・・
『1年生の先生方を紹介します』という司会の声が掛かる。舞台前まで歩いたものの、歩みを止めた瞬間、
あかん・・・立たれへん
なんでこんなときに・・・・・・
思わず、舞台前の階段の端を掴んだ。それを見て主任が、「掴まってええから、もっと前出よ」と小声で言う。
私は、学年主任のスーツの袖にしがみついていた。高そうな肌触りのスーツやなぁ・・・なんて考えて気を紛らわそうとしたけれど、やっぱり情けないし、悔しい。。
立ち場所を調整する振りをして一度下を向き、唇を噛んだ。情けない、情けない、情けない。。
でも。。。
今日の主役はあくまで328名の新入生。36名の私のクラスの子どもたち。前を向いてやろうじゃないか。しっかり。
顔を上げた。
目の前には緊張に満ちた面持ちの子どもたちがいた。私の生徒が。
先生、頑張るで
『2組、担任、めぐさん先生です』
主任のスーツの袖を握り締めたまま、一歩前に出、頭を下げた。そこには祈りも込められていた。
こんな私ですが、宜しくお願いします。 些細だが切実な願い。
そのまますべてのクラスの担任と副担の紹介が終わるまで、私は袖を掴んだまま、必死に立っていた。
メガネは掛けていなかったから、後ろで見る保護者がどんな顔をしているのかまではわからない。
正直、その場からいなくなりたかった。
でもたかがこれしき耐えられないようでは、これから先の教師人生が思いやられる。
新入生退場。殊更胸を張って歩いた。こんな事で、背中は丸めない。下は向かない。36名の私の子どもたちはこの背中を1年間、見るんだから。
学活で教科書を配り、連絡事項を告げ、「さようなら」をする。誰もいなくなった教室のみんなの机を整えて、職員室に帰った。主任に礼を言い、自分の椅子に座る。
今日1日が溢れ出てきた。
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非公開
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CPと闘いながら、やさぐれた社会人やってますw
詩を創るのが趣味。でも最近は忙しくてなかなか創作できません。
夕暮れの空が大好きですww
良い空があれば撮り貯めてますが、キレイに撮れないのがなやみ;
このブログでは日常や好きな音楽、本のレビューを綴ります☆徒然なる独り言にお付き合い下さい♪
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